１２ シャトレーゼのベイクドチーズケーキ

どっしり★ーーーーふんわり
甘ったるいーー★ーーほのかに甘い
こういうのでいいんだよ★ーーーーこういうのじゃないんだよ


「こういうのでいいんだよ」
...というフレーズが慣用句のようによく使われます。
出典が『孤独のグルメ』なので、主に外食の場面で使われます。

SNS映えするようなハデさやゴージャスさやケレン味がない、
地味な、凡庸な、普通の料理。
「余計なものがない」という意味の、誉め言葉でございます。

でも、それが難しいんだよね。
ベースがしっかりしてないと、
「こういうのでいいんだよ」ではなく、
「こんなもんか...」になっちゃうんだよね。


その点シャトレーゼは、
ケーキ界の「こういうのでいいんだよ」を確固たるものにしています。

お値段もやたらお手頃価格だし、
見た目にも特別にボリューミーな感じはしないんだけど、
すごくねっとりしてて、少しずつ少しずつ舐めるように時間かけて食べられる。

「昔ながらの町のケーキ屋さん」然としたシャトレーゼではありますが、
ベイクドと言いながら表面に焼き目もないし、
これはれっきとしたニューヨークチーズケーキ、と言って差し支えなさそうです。


確かな技術のなせるわざ、
それでいてひけらかすわけでない、
一発で決まる送りバントや、狙いすました犠牲フライのような、
最高の最低限。

こういうのでいいんだよ！
こういうのもいいんだよ！
こういうのがいいんだよ！


ハレかケで言えば、
ケーキという食べ物自体が、どっちかとゆーとハレのものではありますが、
ケ寄りのハレ、
市井の人々の日常生活に寄り添うささやかな幸せ、
そんなケーキがあればこそ、私たちもコンスタントに免疫力を保っていられるというものでしょう。

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